先の事務処理用統一個人コード導入の検討においては、各省庁の事務処理の効率化が強調され、国民側のメリットはかならずしも明確ではなったきらいがあった。そのために、国民総背番号という情緒的な反応が大きく、プライバシー保護方策の不十分さもあって、結局、国民のコンセンサスが得られなかった経緯がある。今後、また、統一個人コードの導入を検討し、推進するためには、そのメリット面を明らかにし、国民の合意形成が図られる必要がある。ネットワークを活用した、利便性の高い行政サービスを実現するためには、個人認証・識別のための統一個人コードが必須であることについて、議論を広く提起し、プライバシー保護やセキュリティ対策を前提にして、このような新しいタイプの行政サービスの実現というメリットを期待してこそ、この統一個人コードの導入に関する国民的合意形成が現実的になるであろう。