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先の事務処理用統一個人コード導入の検討においては、各省庁の事務処理の効率化が強調され、国民側のメリットはかならずしも明確ではなったきらいがあった。そのために、国民総背番号という情緒的な反応が大きく、プライバシー保護方策の不十分さもあって、結局、国民のコンセンサスが得られなかった経緯がある。今後、また、統一個人コードの導入を検討し、推進するためには、そのメリット面を明らかにし、国民の合意形成が図られる必要がある。ネットワークを活用した、利便性の高い行政サービスを実現するためには、個人認証・識別のための統一個人コードが必須であることについて、議論を広く提起し、プライバシー保護やセキュリティ対策を前提にして、このような新しいタイプの行政サービスの実現というメリットを期待してこそ、この統一個人コードの導入に関する国民的合意形成が現実的になるであろう。

 

(6)個人情報保護対策の整備

全国民に国・地方の行政機関を通じる共通番号を付与することになると、個人情報の保護対策の整備が不可欠である。そのことが国民のコンセンサスを得る前提の1つであることは既述のとおりである。以下のような観点からの新しい対策の整備や、既存の条例等の見直し、充実が必要である。

?@ 個人情報保護条例等の整備

国の行政機関においては、個人情報の保護に関する法的な整備として、昭和63年12月に「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」が制定され、行政の情報化の進展に伴う個人情報の保護対策はできている。地方公共団体においても個人情報保護条例等の制定が進んでいるが、住民記録システムのネットワーク構築を推進するとなると以下のような問題がある。

* 地方公共団体の個人情報保護条例はかならずしも、行政の情報化の進展に則したものとはなっていず、特に、ネットワーク化への対応は不十分である。

* 地方公共団体において未だ条例等を制定していない団体が2,000以上ある。

* 条例の内容が団体間で同一ではない。そのため、複数団体間のネットワークによる情報交換を実施する場合、団体によって保護対策の内容に違いがでてくる可能性がある。

* 国の個人情報保護法は地方公共団体を対象としていない。そのため、国・地方間で住民情報をネットワークを介して利用する場合、共通の保護規定がないこと

 

 

 

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